what is 自宅療養

「口からご飯が食べれなくなったら・・・」番外編

院長の佐藤です。
診療助手の荒川が、コツコツ「自宅でできる治療」シリーズをアップしていますね。
🌸自宅で出来る呼吸障害の治療法🌸
口からご飯が食べられなくなったら・・・(その1)
日々の診療とか私と患者さんのやり取りとか、経験をベースによく勉強しています。エライエライ。

さて、口からご飯を食べられなくなったら・・・、必要な栄養を補う手段は、
1.高カロリー輸液
2.経鼻胃管
3.胃瘻造設

では、食べられなくなったらそのどれかを選ばなければならないのか?
勿論そんなことはありません。
末梢補液(いわゆる「点滴」)も、方法の一つです。
ただし漫然と続けてはダメ。目的を持って適切な使い方をしましょう。
そして、何もしない、も立派な選択肢です。

■末梢補液(いわゆる「点滴」)
誤解されている方が結構多いですが、点滴では栄養はとれません。 
「末梢」というのは、腕や足のこと。フツウの点滴です。
入れられるのは、水とミネラル、ビタミン類。
糖類、アミノ酸等、カロリーになるものは、ごく少量、気休め程度です。
したがって、
高熱、肺炎、嘔吐などで水を飲めなくなった時、脱水を防ぐために一時的に点滴をするのは適切な治療ですが、
ご高齢(いわゆる「老衰」)や癌末期、神経難病の嚥下障害のために口から食べられなくなった時、延々と点滴をするのは、お勧めできません。断食になってしまいます。

どんどんやせ細り、衰弱していく「延命治療」は、ご本人にとって喜ばしいものではありませんよね?

では
■食べられなくなった人に点滴をするのは、絶対ダメか?
絶対ダメ、ということではありません。
点滴の効果と限界をしっかりと理解して、目的をもって使うなら、アリです。

人は、何も食べなくても水を飲んでいれば、2~3週間は生存可能と言われています。一方、水を全く飲まないとで3~4日で死んでしまう可能性があります。
「余命があと3~4日」をどう受け止めるか?
これは年齢、病気、ご本人の死生観、ご家族の気持ちにより、千差万別だと思います。
例えば
寝たきりで長らくご自宅で療養され、100歳を超えた方が、一日の大半を眠って過ごすようになり、食事を摂らなくなった。
→この場合はどうでしょう。
「点滴も何もしないで、静かに見守り、見送ってあげたい」と思うご家族が多いのではないでしょうか?

一方、例えば
・神経難病が進行し、食事も水も全く摂れなくなった。
・自分の人生観として、胃瘻や経鼻胃管で延命はしないと決めており、決意は固い。
という方が「まもなく息子の結婚式がある。それまでは何とか生きていたい。」、あるいは「もうすぐ誕生日。その日を家族みんなで祝いたい。」など明確な目的があるなら、最小限の点滴をして頑張る、のはアリでしょう。

難しいのは、ご家族が、患者さんの死を受け入れる心境になれない時です。
私は、かつて神経難病の末期の方に1か月間点滴をしたことがあります。
まさに断食。骨と皮にやせ細ってゆくのを見守りつつ、ご本人に申し訳ない、と内心悩みました。
でも、この1か月間は、ご家族が「大好きなパパ」を失うことを受け入れ、見送ってあげるのに必要な時間だったのだと、彼は愛する家族のために付き合ってくれたのだと、だんだん思えるようになりました。
1か月、まではいかなくても、ご家族が「頑張ってくれてありがとう。ご苦労様。静かに休んでください。」というお気持ちで見送ることができるまで、しばしの時間稼ぎで点滴をするのは、「無駄な延命」ではないと思っています。
ただし、静かに終わろうとしている命を、無理に引き延ばしていることは確かです。
付き合ってくださっている患者さんに感謝し、あまり無理強いをしないようにしましょうね。

さてさて、文字が多くなってしまったので、最後は恒例の「茂木さんちの壁紙アート」をどうぞ!

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