院内ブログ

訪問診療⌚2分半 !?

さくらクリニック練馬 院長の佐藤です。

表題を見て なんのこっちゃ?と思った方もおられるでしょうね。
もしあなたやあなたの大事な方が訪問診療を受けていて、「訪問診療が2分半」と聞いても何とも思わないなら、不運、かも。

先日、都下で訪問看護をしている知人とお食事したんですが、その時に聞いたお話です。😠

これを読んでおられる方が「ちゃんとした訪問診療」を受けられますように!

その知人(Mちゃん)は 都下で訪問看護の仕事をしています。在宅の患者さんに深く長く寄り添うのが大好きです。
私がブログで、患者さんの誕生日にスイカ食べさせたり、ケーキをご馳走になったりしている写真(食べてばっかり・・・)を見て、「こんなこと、(先生は)誰もやらないよー」と驚いていました。
まぁ、診療とは関係ないので「ムダな時間」ではあります。

じゃあMちゃんが関わっている患者さんの訪問診療はどんな感じなのか?と聞いたところ、先生が靴脱いで入ってきてから出ていくまで、2分半と言うのです。

訪問看護師さんとヘルパーさん達で、「先生の滞在時間が短いね」という話になり、「2分半くらいじゃない?」、「いやー、そんな短くないでしょ」という流れで、とあるヘルパーさんが、先生が玄関から入ってから出るまでスマホのストップウォッチで測ったら「きっかり2分半」だったそうです。

外来の診療時間が短いことを患者さんたちの不満と批判を込めて「3分診療」と呼ぶことがありますが、在宅医療で3分を切るとは(😮)
いい悪いをひとまず置いといて、不思議でした。
玄関から入って、ご本人やご家族に挨拶して、その流れでお話しながら診察カバンとか処置に使う物品とか運んで、スペース確保して並べる。ここまでで既に3分くらいかかる。
で、様子をうかがう、バイタルをとって診察して、必要な処置をして、患者さんやご家族の相談に乗って、病状の説明をして、今後の方針を確認して、処方を出す。
安定している患者さんでも、20分くらいはかかると思うけども。

その「2分半のお医者さん(女医さんだそうです)」の診察はどんな風かと聞いたところ、
・「元気ー? 元気だよねー!」と言いながら入ってくる。
・訪看さんが記録済みのバイタル所見(血圧、脈拍、体温など)を書き写す。
・処方箋を書く。
・「大丈夫だよねー」と言って帰ってゆく。
だそうです。確かに、これだけなら2分半で済む、のかもしれない。

処置なんかはどうしているの? と聞くと、「褥瘡は診ない」(!?)
その代わり、後日 褥瘡の「認定看護師」さんが来て、患部を観察して治療方針を決め、必要なら外科的処置もするのだそうです。

この先生の処方は、放っておくと永遠に変わらない
降圧剤を飲んでいて、血圧がとても低い、とか、鎮静剤を飲んでいて、一日中ウツラウツラしている、とか、服薬に問題があるんじゃないかなぁ、と看護師さんが思ったら、訪問看護報告書で先生に申し送る。
幸い報告書は読んでくれているようで、しばらくすると問題の処方箋が修正されている、のだそうです。

なんか、妙に感心してしまいましたが、・・・そもそも、これなら訪問診療じゃなくてもいいんじゃないか?
超高齢化、多死社会、社会保障費の高騰、がしきりに問題化されている今日この頃。
去年は「終末期の延命治療を保険適応外にしたら一発解決」などという過激な意見まで出て、結構物議を醸していました。
もしかしたら将来 少ないパイを分配しなければならない切実な状況になったら、そういうことまで考えなければならなくなるのかもしれない。
でも、その前に 医療現場の無駄を是正する努力を、現場の人間がしていかなければならないと思う。

例えばこの女医さんのようなケースは、今盛んに喧伝されている「遠隔医療」を使うとか、外来で医師が訪問看護の指示書を出せるようにするとか、で十分対応できると思う。

訪問診療は、入院するより安いけれど、外来に通うよりは高い。
従って訪問診療を受けることによって外来通院より良い状態になるとか、何度も入退院を繰り返さないように症状をコントロールするとか、それなりの成果を求められてしかるべき。
訪問診療の当事者である私たちが、その成果をしっかりと示していかなければならない、とつくづく思ったのでした。

文字が多くなってしまったので気分転換。とある患者さん宅で撮らせてもらった春のお花たちです。

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