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スポンジヘッド式持続吸引チューブ その1

スポンジヘッド式持続吸引チューブ その1



本日担当いたします、診療助手の荒川です。
どうぞ、よろしくお願い致します🌸

ALSが進行すると「飲み込む力」が弱まっていきます。
食べ物・飲み物だけではなく、唾液を上手に飲めなくなると、
① 口の中に唾液がたまる、あるいは
② 唾液を誤嚥して気管に入ってしまう
といったことが起こってきます。
そういうトラブルを防ぐために、在宅療養の現場ではいろいろな工夫をしています。
今日はそのひとつ、「低圧持続吸引器」について。
ご本人になるべく負担をかけず、快適に唾液を吸い取るために、現場で工夫していることをご紹介させていただきます!

「低圧持続吸引器」は、器用なOTさん(リハビリの先生)なら手作りできますが、ネット通販で簡単に購入できます。
だいたい7000円ちょっと。

この画像だけではわかりづらいですね。モーターで弱い陰圧をかけ、チューブ先端から少しずつ少しずつ液体(=唾液)を吸い取ります。
口の中にチューブを入れる場合、一般的には「メラチューブ」という先端がクルクル巻かれた特殊なチューブを使います。
先端がブタの尻尾のような形をしているので、「ピッグテール」とも言うようです🐖✨
こんな感じです。
低圧持続吸引器にメラチューブをつないで、舌の上に置いて、唾液を低圧持続的吸引します。

唾液の誤嚥を防ぐ最もシンプルな方法は、通常の吸引器で小まめに吸引を行うこと。
しかし、介護者がずっと患者さまの側にいて延々と唾液を吸引するのは、患者さまにとっても介護者にとっても大きなストレスです。
そこで「低圧持続吸引器」+「メラチューブ」の出番となります。
このメラチューブにも欠点があります。
口腔内の適切な位置に、適切な向きで置かれていないと、上手く吸えない。
・低圧とはいえ、場所と角度が悪いと口腔粘膜に吸いついてしまう。
→したがって、ちょくちょく位置を調整してあげる必要があります。
もう一つ、無視できない欠点が・・・。
高いのです。(10本セットで1万円 別途送料)

さて、そんなとある日
林修士様のご担当のヘルパーさん(Iさん)が、勉強会でメラチューブの代用となる「ヘッドスポンジチューブ」の作り方を教わってこられました。
こんな感じ。普通の吸引チューブの先端に何個か穴をあけて、そこに口腔ケア用のスポンジを取り付けたものです。

 

 

 

 

 

林修士様はすっかり気に入って、今は24時間これを愛用されています。

お気に入りの理由を尋ねたところ
・口の中にチューブが貼りつかない
・口の中で多少動いても、吸引力が変わらない
そしてもう一個良いところは、コストほぼゼロで作れること。

Iさんに直々に作り方を教えていただきましたので、ご紹介します。Let’s try (^^♪

■用意するもの■

①吸引カテーテル
(14Frのサイズがオススメです)

②ベルトの穴を開ける際に使用するポンチ

③口腔ケアブラシについているスポンジ
④デンタルフロス

 

⑤吸引器にポンチで穴をあける時に敷くもの(ここではバインダーの上に革のハギレを載せて使いました)

 

 

+α まごころ(惜しみなくそそぐと「更に良い」仕上がりになります 🌸)

■作り方■
・その1
ポンチで吸引カテーテルに穴を開けます

革端れを下敷きして、ポンチでかなり強めに「グィー」と押して穴を開けます。
(革切れが滑り止め代わりになります)

 

カテーテルの裏側が円形に縁取りされてるので、指で押して、摘まみとります。
そうすると空洞が出来ます。

 

 

それを、total 6~8個ほど開けます。

 

スポンジに穴を開けた部分が納まるように
吸引カテーテルの先端を1㎜程度カットします。

 

・その2
スティックから口腔ケアスポンジのスポンジを取り外して、スポンジの空洞に、付着している接着糊を、手で少しずつ、ほぐして取り除きます

写真のように、
穴を開けた吸引カテーテルデンタルクロスを通します。

 

 

先ほどのスポンジを吸引カテーテルにかぶせて、デンタルフロスを時計回りに1回巻いてしばる、反時計回りに1回巻いてしばる、
最後に時計回りに巻き付けてしばります。

 

口の中での違和感を軽減するために、スポンジの凹凸を鋏で滑らかに整えます。
(凹凸があるよりも、平面の方が気持ちいいですよね^^)

 

 

これで、完成です !(^^)!

次回、「その2」では、写真で補いきれなかったところを、実際にご使用されている動画でご紹介させて下いただきます。
最後まで、ご覧いただきありがとうございます。



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