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20年振りの帰島

20年振りの帰島



2020年1月に初の国内発症事例が報告された新型コロナウィルス(COVID-19)の影響により旅行や移動が制限されておりましたが、今年のGWは各種措置が取られなかったこともあり、里帰り等で久しぶりに会いたかった方と対面する機会を持たれた皆様も多かったかと思います。

私的に帰省することはしませんでしたが、今回は20年前にキビ刈り援農で滞在していた沖縄の小浜島や隣の竹富島にお邪魔してきました。その際に感じたこと・知ったことを共有させていただきます。

当時20台半ばで仕事を辞めた私は”憧れの離島生活”を叶えるべく、なるべくお金のかからない方法で南の島に滞在する機会を探していました。ガイドブックで「キビ刈り援農」の記事を目にした私は、年明けから始まるサトウキビの収穫時期に合わせて全国から集まった学生・ボランティア有志(当時の私のようなフリーター含む)と観光閑散期の小浜島の民宿で寝泊まりしながら、今日はこちら・明日はあちらと民宿のお父さんが持っている島内のキビ畑を移動しながら合宿生活を営んでいました。

当時島にはキビを刈り取る大型の機械がなく(港の大きさの関係で船で運べないと聞いた覚えがあります、今は変わっているかもしれません・・・)年明けから春先の収穫時期には毎日〇トンという量を刈る必要があるため島外からも支援を求めていたようです。

そんな忙しい時期に訪れた私の憧れの離島生活の内容ですが、毎日ひたすらサトウキビと格闘する日々!!でした。キビは先端部分は甘みが少ない為 鎌で切り落とし合わせて根元の泥を払うのが私のお仕事でした。と言ってもキビ1本でも全長2~3メートル、重さ約1~2kgあるので片手で持つのもそれなりに大変です。左手でキビを持ち右手で刈り取り、を繰り返すうちに夢の中でも右手が勝手に動くくらい、体が作業に馴染んでいきました。

作業が終わるとみんなでシャワーを浴びるのですが、数十人を何回かに分けてたとしても時々お湯の温度が低かったり水圧が弱かったりすることがありました。当時は深く考えることはなかったのですが、あの小さい島にダムがある訳でもなく、貯水池も見当たらず、一体島の水はどこから供給されているのか不思議に思い今回竹富島でお世話になった宿のご主人に尋ねてみると、なんと 隣の西表島から海底の送水管を使って届いていると教えてくれました!因みに竹富島は石垣島から送水管が通じているそうです。

小浜島の西側からはヨナラ水道と呼ばれる幅約500~750mの海峡を挟んですぐ西表島が見えます。西表島には山・川・滝があり、水源池が複数あるそうです。また竹富島は珊瑚礁か隆起してできた島ですが集落ではいくつか井戸も目にしました。

今回小浜島は日帰りでしたが、援農していたときはとっても広く感じた島も原付バイクで移動したら3時間程度で1周できてしまい、20年前に3ヵ月弱滞在した時の濃密な時間が大分色あせてしまったように感じたりしました。お世話になった民宿も現在は後を継がれる方がおらずお休みしているとレンタバイクのお店で伺い、お世話になったお礼を伝えることもできないまま島を後にして竹富島に向かいました。

竹富島は20年前に小浜島から帰る際にも立ち寄っていたのですが、丁度その時左手を怪我して不自由な手で身の回りのことをするのに精いっぱいだったこともあり、記憶がうっすらとしか残っていませんでした。

今回は昔からある民宿の一部屋(障子や壁で仕切ってあるお部屋)にお世話になりました。島の取れたてのモズクをご馳走になったり、民宿のすぐわきを通る水牛車観光のガイドさんが奏でる三線の音色に耳を澄ませたり、これぞ憧れの離島生活に近い贅沢な時間を堪能しました。

島を散歩しながら目にしたのが地面に埋まった大きなコンポスト。またまた宿のご主人に伺うと「島では生ごみは出せない。自分の敷地に埋めたり集落のコンポストでたい肥化させている」と教えてくれました。島には小さな焼却施設があるものの対応できる量にも限りがあり、島民が協力してなるべくごみを出さない工夫をしているということでした。

竹富島を象徴する真っ白な集落の路地は毎朝住民の皆さんが箒で綺麗に掃き清められていました。昼間は石垣島から頻回に高速船が往復していることもあり、こちらも日帰りの観光客の方が多い印象でした。島内ではレンタサイクルを利用する方が多く、夕方になると集落の路地には自転車の轍が縦横無尽に残っていましたが、翌朝にはそれもすっかり消えていました。ずっとずっと昔から、観光客が来る前から、住民の方々が毎朝毎朝同じように掃き掃除をされてきたことに思いを馳せると島の生活の営みの深さに頭が下がる思いでした。

竹富島では島を訪れる観光客に任意で¥300の入島料を求めています。集めた入島料は、リゾート開発から守るため土地購入を予定したり、植林やゴミの清掃に使ったりするそうです。また島の入り口である港の道路を挟んだ向かいには ビジターセンター があり、島の歴史や民族資料・生活の様子について学ぶことができます。こちらの壁面の一角では島の方々が大切にしている「うつぐみ」について垣間見ることができます。

現代に生きる私たちが忘れてしまいがちな 先祖や自然を敬う気持ち・感謝の気持ちについて 壁に掲げられた島の方々の言葉ひとつひとつに、自分を顧みたり将来を担う子供たちに何を残していくべきかを考える時間をいただきました。

綺麗な海や白浜を守るために島の方々が尽力されていることを忘れず、都会に住む私たちもごみやプラスチックの消費を意識的に減らし、少しでも環境に配慮した生活を送る必要があると今回の旅を通して改めて感じました。

相談員・菊池

 

 

 

 

 






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