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利用者ブログ【第1章 5- 家で必要なものの準備】

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5 家で必要なものの準備

 

介護用ベッド、車椅子、吸引器、吸入器(ネブライザー)、カフ圧計など新たに必要な医療機器について福祉用具プランナー/福祉用具専門相談員のOさんに相談し、リスト化していきました。

退院してすぐに必要なもの、退院後に買いに行けばいいもの、退院後の生活に慣れてから考えればいいものなどに仕分けすれば良いのですが、心の余裕が無いのでついついムダなものまで買ってしまいました。

障害や病状によって費用の一部又は全部に公費補助が利用できるもの、すべて自費負担になるものがあるので、事前に役所や福祉事務所(福祉系支援)、訪問診療クリニック(医療系支援)などに相談しておいた方が良いです。

 

【電動ベッド】

息子は今後ベッド上で「食べるトレーニング」を行うことを考えると「ギャッチアップ(上半身を起こす機能は必須。下半身が起こせる機能も選べます。)」機能は電動が楽であることは間違いありません。

しかし、新品の介護用ベッドはかなり高額なので、「中古」で探してもらうこととし、家への搬入は退院前に済ませました。

・スイングアーム介助バー付きの柵

オプションで転落防止用の「サイドレール(柵)」も購入しましたが、柵にもいろいろ種類があり、一つで数万円もするものもあります。

スイング機能がある柵は10kg近くもあり、取付ネジで固定しなければならなかったので、何らかの医療処置で取り外しが必要となる場合は大変でした。

このスイング機能のある柵は、取り付けてはみたもののあまり使わないようにも思えたのですが、最も役に立ったのは、なんと息子が「肋骨」を骨折してしまったときで、結果的に「備えあれば憂いなし」となりました。

ベッドを壁沿いに配置するのならば奥側のサイドレールは必要ない(それに掴まることがない)のですが、入院中の介護ベッドのイメージが頭から離れず、ついつい購入してしまいました。

・キャスター

キャスターはあまり使わないと思って取り付けていませんが、医療や介護の処置の内容によって奥側に人が入れるスペースが必要な場合があるので、その頻度やレイアウトの工夫、あとはお財布との相談で検討すれば良いと思います。

 

・離床センサー

強いてんかん発作がある息子が一人で起き上がったことに気が付かないと倒れてしまうリスクがありました。そのため「離床センサー(床への着地を感知しブザーで知らせる。施設や病院で使われる。)」を考えましたがこれも数万円以上と高額で手が届きません。そこで、専用品ではないですが廉価な人感センサー(動きを感知しライトが点灯。コンセントに刺したまま使うタイプで、停電時の誘導灯として利用できる。量販店で数千円程度)で代用することにしました。

なお、発作の可能性があるからと言って、ベッドの四方を囲む「4点柵」にはしていません。起き上がりたいという気力を大切にしたいためですが、介護者はいつもピリピリしてしまいます。

【車椅子】

車椅子は体に合わせたものが必要ですので、市販のものを買ってそのまま使うと言うわけには行きません。

※公共施設や商業施設に車椅子が備えられていることもありますが、体に合わず使いにくかったり、中には壊れたままになっているものもあります。あればいいという問題ではなく、場合によっては車椅子利用者だけでなく、介助者や周囲の人を巻き込んだ大事故になりかねません。→マイ車椅子が一番!

入院中に理学療法士さんにどういう車椅子がフィットするか、どういう機能が必要かなどを評価していただき公費補助の申請を行いました。

息子の場合はセミオーダーでしたが、公費補助の承認が下りないと発注できないので、納品までにかなり日数(我が家の場合は2ヶ月近く)がかかります。

退院してすぐ外出することはありませんでしたが、室内でも車椅子を利用するので、正式な引渡しを受けるまでは業者(メーカーでは無く福祉用具取扱店)から代車をお借りしました。

・介助ブレーキ

発注の注文票を確認していた福祉用具専門相談員から「介助ブレーキは必要ですか?」と聞かれました。不勉強なもので車椅子には介助ブレーキが付いているのは当然と思っていましたが、きちんと確認してオーダーしないと「介助ブレーキ無し」で組み上げられてしまうようです。

※納品後に介助ブレーキの取り付けを頼むと別途料金がかかることがあります。

下り坂はかなりの力で車椅子が(下方向に)引っ張られます。階段横などにある「緩やかそうに見えるスロープ」でも同じです。誰も乗っていない車椅子であれば制御できますが、人が乗っている場合は介助ブレーキだけでは力負けするほどの負荷がかかります。

もし介助者が手を離してしまったら間違いなく大事故に繋がりますので、どの程度の下り坂なら前向きで操作できるかや後ろ向きの体制でゆっくり下るなどを体感で知っておいた方が良いと思います。

【吸引器】

吸引器は、万一故障したときのことも考え2台購入しました。

うち1台はパワーのあるAC電源利用の据え置き型、もう1台はバッテリーで通院等の外出時でも利用できる携帯兼用型です。

据え置き型のものはベッドサイドに置き、就寝中やカニューレ交換の際に吸引できるよう備えています。

・携帯兼用型

携帯兼用のものは普段リビングに置いていますが、通所施設に通うとき(送迎バス内や施設内で)、病院に行くとき(診察の待ち時間や行き来の車中で)、あるいはドライブや買い物の時に持参します。

携帯と言っても本体のほか通水確認用の水や吸引カテーテル(数本)、保管ビン、消毒綿、使い捨て手袋、予備バッテリーなどでかなりの重量(5kgぐらい)になりますし、毎回きちんとセット(バッテリーの動作確認も)するのも大変です。

万一、水が不足すれば市販のペットボトルの水でも代用できますが、カテーテルは購入できません。外で吸引している最中にカテーテルを床に接地させてしまったこともありました。予備が2~3本では足りないこともありますので、1回ずつ使い捨てになっても仕方が無いぐらいの対応を考えて準備した方が良いかもしれません。

このほか、後から停電になったときに電源無しで使える手動型のものも買いそろえています。

なお病院では、カテーテルは1回限りの使い捨てでした。在宅ではそこまで厳しくしなくても良いとのことでしたが、「では、どのぐらいまで?」の基準やマニュアルがあるわけで無く、繰り返しやりながら「勘所」を身につけるまではヒヤヒヤものです。

 

【吸入器(ネブライザー)】

息子は痰が多いので吸入器は必須でした。

吸入は鼻や口にマスクを当てたり、口を開けたまま噴霧されるものと思っていましたが、カフを膨らませたカニューレを使っていると口や鼻から吸っても気管に入っていきません。そのため喉の気切部分(カニューレの開口部)から吸い込ませるようにします。

製品としては、吸引器と同様、家で据え置いてコンセントで使うタイプと、バッテリー駆動で携帯できるタイプがありますが、パワーのある据え置き型のみ購入しました。

ほぼ毎日、気管からの吸入に使用するもので、トラキマスクに接続チューブを付けて使用しています。

停電時や外出で使う場合、バッテリーで駆動できるものが必要になるので、予備的にもう1台必要かもしれません。

【その他の物品】

カフ圧計、血圧計、パルスオキシメーターや体温計などです。

カフ圧は病院では1日に何回も計測していました。リハビリを行う場合は体の動きでカフが緩んでしまったりするので、開始前と開始後にも計っていました。

在宅でそれほど体を動かすことが無い場合は、高額なカフ圧計ではなくシリンジで代用することが多いようです。すぐ必要と思って先走って購入してしまいましたが、結構高額なものなので、可能であれば事前に訪問の医師と相談しておく方が良いと思います。

各家庭にも必ずある「体温計」でも、1分計や3分計もあれば、5~10分計らないと体温を計測できないものもあります。最近主流になっている非接触型の体温計(実は大半は温度計)であっても、機種による違いやセンサーを当てる場所によって全く異なる体温が表示されます。同様に血圧も酸素濃度も測り方でいろいろな値が計測されてしまい、これらの数値を鵜呑みにすることは危険です。数値は一つの指標ですが、機械に頼るだけで無く、顔色や痰、意識、具合が悪そうかなど総合的な判断が必要です。

息子は、強いてんかん発作があった時は一時的に体温が乱高下したり、脈拍や血中酸素濃度も大きくぶれた数値が出ます。気になるバイタルサインが出たら少し時間をおいて再計測し、次の処置を考えるようにしました。

【栄養剤】

リハビリ病院の医師から、半固形栄養剤は「退院後1ヶ月は入院中と同じ栄養剤を使用すること」という指示がありました。この栄養剤も市中の店舗では扱われていないので、ネットで購入(保険適用はありません。)しました。

発注先のお店によっても違いますが、何箱もまとめて購入すると金銭的な負担も大きく、少し安かったけど家に届くまで1週間かかった店もありましたので注意が必要です。

胃ろうから入れる栄養剤は、一度介護用のレトルト食品(市販品)を試してみたことがありますが、栄養剤に比べて必要なカロリーが不足したり栄養バランスがうまく調整できないこともあります。また、注入用シリンジがすぐダメになりました。もう少し上手な使い方があるのかもしれませんが、「口から食べればいい」というのとは違って不安が尽きません。

 

【消耗品など】

医療物品や消耗品は、病院や訪問の看護師さんに教えていただき、揃えておきます。

・100円ショップで購入したもの

経管栄養や吸入で使用するタイマー(我が家では15分でセットします。)

胃ろうで入れる水分を図る計量カップ(300ml)

500ml程度の蓋付きビン(吸引時通水確認用+吸引カテーテル保管用)

・ドラッグストアで購入したもの(100円ショップで買えるものや訪問診療で入手できるものもあります。)

主に吸引や胃ろう関係:アルコール消毒綿、消毒液、使い捨て手袋、Yガーゼ、サージカルテープ

薬剤:シロップやOD錠を溶かして胃ろうから注入するための小さな計量カップ

歯磨き:ガーグルベースン、吸引歯ブラシ、スポンジ など

意外だったのは、予備が無くなり急いで必要だった「胃ろう用シリンジ」や「吸引カテーテル」が市中のドラッグストアで購入できませんでした。ネット通販で入手できる場合もありますが、早めに訪問の医師に相談しておいた方がいいです。

市中で入手できない消耗品は、土日や夜間、外出先、災害時などでとても困ることになります。数日分はストックしておいた方が良いと思います。

【買い急ぎでムダにならないように】

退院後に備えて事前に買いそろえたものの中には、全く不要、使いにくい(使えない)ものもありました。

よく分からずに慌てて買ってしまったことや、病院と在宅では「やり方」が異なるためですし、病院では専用の高額な医療物品や消耗品を使用していても、在宅では「100円ショップ」で代用できるものもあったりします。

通販でやってしまいがちですが、送料節約のため一度に大量に買ったけれど、消費期限切れになったり、体調の変化で別のものが必要になったこともありました。

 

何をいつまでに揃えるかは事前に訪問医療チームと相談してからの方が良いと思いますが、退院の日が迫っているのに「手に入らない」というのはとても焦ってしまいます。

医療的ケアの経験が無く、やってみないと分からないことばかりですが、最初の内はある程度の失敗を繰り返し、落ち着いていくのだろうと思います。



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