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【イベント参加レポート】4.おわりに

【イベント参加レポート】4.おわりに

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今回イベントのために作成した動画は、ある程度ストーリーがある作品のようになりましたが、「何気ない日常」を記録しておくことはとても重要だと思います。

【チョキできますか?】

息子が脳挫傷、意識不明で救命病棟に運び込まれたとき、脳外科の執刀医から「術後の意識の回復状況はどのように判断すればよいでしょう?チョキできますか?」と聞かれたときでした。

息子は先天性の肢体不自由や知的障害があります。コミュニケーションはとれません。いつも一緒にいる親だから気持ちを読み取れることはありますが、初めて会った、それも意識不明で搬入された患者のことをどうやって理解してあげられるかはとても難しいことだと思います。

息子は「痛い」も「苦しい」も表出することができませんし、手の指を曲げることができないので「チョキ」の形はつくれませんでした。


急性期病院にて

 

救命病棟の短い面会時間にて、(親が)手を握ってあげたとき、目は閉じたまま「ぎゅっ」と握り返す反応がありました。家族としてはそれを「意識が戻った」と思いたいのですが、執刀医にお話すると、医療者の立場として、握り返しただけでは「無意識の反射」なのか「意識の回復第一歩」かが判断できないとのことでした。

また、「グー」や「パー」も反射で出来てしまう形だが、「チョキ」は頭の中で「チョキとはどういう形か」を理解し、それを手に伝達してハサミの形を作るので、それが出来れば意識は回復していると評価出来るとのことだそうです。

言語あるいは非言語のコミュニケーションが十分に通じず、家族が常時付き添えなくても、医療チームに動作や反応を評価していただけるよう「日常のなにげない生活動作」がわかるような動画があればより役立つだろうと思いました。

 

【参加してとても良かった!】

コロナ禍の3年間、どこかへ出かける気にもならなかった我が家にとって久々に行きたい、参加したいと思うイベントでした。

我が家の日常は、訪問の医療職の方と接する時間がその日の最大のイベントです。必要な医療やリハビリのことを教えていただく貴重な機会ですが、他の在宅患者さんの様子や日常をお聞きしたりすることは難しい時代です。

しかし、このイベントで作品を展示された患者さんやご家族の日々の生活を拝見することができ、同じように在宅療養で頑張っていることに共感しました。

上映コーナーでは、動画を出品された一組の患者さん、そのご家族とご一緒になりました。

その患者さんと我が家の動画がちょうど連続して上映されたのでお互いに鑑賞することができました。直接お声がけはできませんでしたが、在宅療養仲間として「心から通じるものがある」という温かい気持ちであふれました。

もう一つ、とても良かったことは日頃お会いできないさくらクリニックの事務スタッフの皆さんや佐藤先生(練馬院長)に初めてお会いできたことでした。

お世話になって3年半を経過していましたが、クリニックに出向いたことは一度もありません。そのため医療事務やクラーク、総務などをご担当の皆様とはお会いする機会がありませんでしたが、会場にて初めて皆さんにお会いでき嬉しく思います。

イベントに感謝!

 

患者プロフィール 冨田功/文責・冨田(父)
平成3年生まれ
杉並区在住
先天性重度身体・知的複合障害、アペール症候群、症候性てんかん

平成30年に脳挫傷の手術。気管切開、胃ろうも必要になり、7ヶ月の入院を経て在宅療養へ。

イベント当日にお会いできなかったスタッフの皆様には、機会をみつけて必ずご挨拶に参りたいと思います。



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