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【イベント参加レポート】3.動画の作成について(後編)

【イベント参加レポート】3.動画の作成について(後編)

デフォルト画像

【構成その2】

⑥てんかん発作が起こっているときの様子
⑦家族、医療職、相談支援専門員等関係者が情報を共有できるシステム
⑧在宅介護で家族が感じる不安
⑨移動支援ヘルパーの支援による外出の様子

 

【てんかん発作の様子】

息子に症候性てんかんの症状が現れたのは13歳のとき、1月3連休の日でした。突然後方に倒れて体全身を「がくがく」と震わせる症状でした。出血や外傷はありませんでしたが念のため大学病院に救急搬送。着いた頃には意識も戻り、特段のことはないだろうとの診断で帰りは普通に電車で帰ってきました。それから少し日を置いて「バタっ!」、また「バタっ!」と倒れるようになり、病院へ何度か通って「てんかん」の診断が出されるまでにはけっこう日数がかかっていました。

発作は突然起こりますし、当時はスマホのように手軽なものはありませんので動画や写真を撮影できません。病院でいくら説明してもなかなか理解していただけないもどかしさもありました。

脳挫傷を起こした27歳の頃は、数ヶ月に一度体をがくがく揺さぶる「強直関大発作」があり、それよりも小さい「中発作」や「小発作」は、ほぼ日常のことといっていいぐらい頻繁に起こっていました。

「あ、発作だ!」と思って急いで体を支えようと思っても間に合わないこともあります。一時期、発作の予兆を感じているかのように小さくフリーズする様子を見せたことがありました。そういうときはなんとか支えられますが、それが無ければ突然「ドタッ」と倒れてしまいますので、発作が起こる前からカメラを構えることなどの芸当は不可能です。

一番ひどい状態を撮影することは難しいですが、少しでも撮影できた発作の様子は、脳神経内科の診察時や発作で外傷を負ったときの医師の診断にとても役立つものとして活用していただけるようになりました。


発作の様子を撮影するのは困難だが医師の診断には貴重な情報となる。

 

【役立つ情報共有システム】

最近は、スマホなどを使ったSNSのような仕組みで、家族、医師、看護師、セラピスト、医療相談員等関係者間で情報を共有できるシステム(MCSなど)が提供されています。メールと掲示板の機能を組み合わせたようなもので、LINEのような速報性には欠けるものの、いつでもオンラインで繋がっていることを実感でき、もっと活用されたらいいのにと思います。

※同じ内容を何度も連絡する必要はなく、一つの情報(文字や画像)で関係者全員が発生事象や経過観察の様子などを共有でき、加えて医師による指示書やカルテ、取説のような使い方もできる。


医療情報共有システム

 

【家族の不安】

在宅診療開始から3年経過、基礎体力はだいぶ回復し、安定してきていると思います。しかし、今でも毎週のように新たなトラブルがありますし、体調が下を向き始めると一気に急降下するなど、家族は24時間いつも不安を抱えています。

入院中であれば「ナースコール」という強い味方があります。

しかし在宅では家族自身が感知(発見)し、判断、処置を担わなければならず、緊急度、重症度、必要となるであろう処置(画像診断や採血などが必要になりそうか?)、先の見通し(家族による様子見だけで良いのか?)などをイメージして、緊急往診や救急搬送依頼など適切な支援・指示を仰がなければなりません。

 


夜間は特に不安。過緊張状態が続く・・

 

やはり夜中に吸引が必要になるときは、寝ぼけてミスをしてしまわないよう神経が休まりません。かといって、煌々と灯りをつけ、寝ている息子の睡眠を妨害したくはありませんし、吸引そのものが眠りの妨げなので手早く済ませなければなりません。

吸引を終えて呼吸音が静かになって「これでよく眠れるようになったかな」と思いたい一心ですが、逆に呼吸のチカラが落ちてしまって静かになってしまったのではと気がかりでなりません。その後再び(介護者(自分自身)が)眠れているのかどうかよく分からないまま朝を迎え、息子がちゃんと目覚めて起きてきたときに、ようやく「ホッ」とするという日々の繰り返しです。

在宅で患者と家族が一緒に過ごすことが出来るのは、日々の訪問診療や看護の後ろ盾があるからこそであり、安心・安全な医療支援、楽しいリハビリも含め、親子共々小さな日々の幸せを笑顔で楽しんでいます。

 

【移動支援サービスでの外出】

今でも障害者通所施設内などで車いすを利用しているものの、週1回の移動支援はヘルパーさんの歩行(腋窩)介助によりお散歩にも出られるようになりました。

このお散歩は在宅で家に閉じこもりがちな息子にとって、心が開放される貴重な時間であり、息子の体力が続く限り、四季を楽しみ、毎年桜のお花見に行けることが親の願いです。


動画に登場する移動支援サービス(令和5年の桜のお花見)

 

【動画作成を終えて】

この動画はさくらクリニックさんのイベントへ参加してみたいというきっかけで作成を始めましたが、ご支援をいただいている皆様のご協力により満点の作品に仕上げることができました。

改めて振り返りますと、医師や看護師、セラピスト並びにヘルパーなど、他の医療・福祉職の方が1回の訪問時間に同時に介入することがないので、お互いがどのような介入を行っているのかを知る機会がありません。

この完成した動画をご協力いただいた皆さんに見ていただいて、それぞれの職種の方がどのようなことをやっているのか、この子の日常はどんな様子なのかを知ることができ良かったとおっしゃってくださいました。

動画は、在宅家族にとって貴重な記録と記憶。
きっかけをいただきありがとうございました。



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