口からご飯が食べられなくなったら・・・(その1)
口からご飯が食べられなくなったら・・・(その1)
2019年01月21日
嚥下障害を抱えながら、ご自宅で療養されている患者さんもたくさんいらっしゃいます。
本日は、ご自宅で具体的にどのような選択肢があるのか、大まかに3つご紹介いたします。
①中心静脈栄養
②経鼻栄養
③胃瘻造設
みなさん、こんにちは!
診療助手の荒川です、どうぞ、よろしくお願いします🌸
💡本題に入る前に
最近では、TVや介護現場で「嚥下機能」というフレーズを耳にされる方も多いのではないかと思います。
嚥下機能とは
→食べ物を口の中ふくみ、「ムシャムシャ」と咀嚼して、「ゴックン」と飲み込むことをいいます。
(エンジョイライフのイーライフ様から画像をお借りして少し加筆しました)
口からご飯が食べれなくなる理由には、様々なケースがあると思いますが、今回は「嚥下機能の低下」に伴う場合の対策をご紹介させていただきます。
では、対策として大まかに3つあります
①中心静脈栄養
心臓の近くにある太くて血流の早い静脈を中心静脈といいます。
鎖骨下を通る静脈から中心静脈にカテーテルを挿入して、栄養を直接注入します。
(株式会社大塚製薬工場様から画像をお借りしました)
★メリット★
・1日2500kcal まで栄養を投与できる
・身体に穴を開けない(ただし太い点滴は挿入します)
★デメリット★
・カテーテル挿入部から感染症にかかることがある
・カテーテルを挿入することで肺に傷をつけて「気胸」や「血胸」などの合併症を来すことがる(ごく稀です)
・認知症などで判断能力がない方の場合、自己抜去するリスクある(非常に危険)
②経鼻胃管
鼻の穴からチューブを通して体内に栄養を送り込みます。
消化管の機能には問題ない方が栄養を補給するための方法です。
(アボット ジャパン株式会社様から画像をお借りしました)
★メリット★
・胃や腸などの機能を活かして栄養補給ができる
・身体に穴を開ける外科的手術が必要ない
・経口摂取ができるようになれば直ぐにやめる事が可能
★デメリット★
・チューブが入っている違和感(個人差あり)
・チューブ交換時に苦痛を伴う(個人差あり)
・装着している事が第三者から見て分かる
・胃の中に入れたチューブがずれて持ち上がり気管の中に栄養が点在すると、重大なリスクとなる
(極めて稀です。それを防ぐために経管栄養の都度、聴診器で胃の音を確認します)
・認知症などで、判断能力がない方の場合、自己抜去するリスクある(非常に危険)
③胃瘻造設
手術で胃に穴を開けて、カテーテルを留置して、栄養を入れます。
当院が使用しているバルーン式タイプでは、ご自宅で1ヶ月~数ヶ月に1回の頻度で胃瘻のカテーテル交換を行います。
(*胃瘻のタイプによっては、入院して交換する必要があります)
(アボット ジャパン株式会社様から画像をお借りしました)
★メリット★
・胃や腸などの機能を活かして栄養補給ができる
・カテーテルの接続部分はお洋服で隠れるので見た目で胃瘻が分からない。
・中心静脈栄養や経鼻胃管と比べて、カテーテルが身体の中に入っているので自己抜去リスクが極めて低い(ゼロではありません)
★デメリット★
・胃瘻を造設するため、胃に穴を開ける手術が必要
・穴を開けた部位の消毒など清潔に保つ必要がある
・認知症などで、判断能力がない方の場合、自己抜去するリスクある(非常に危険)
とういう事で、当院では、意識がしっかりされている方は、胃瘻をおススメしております。その他にも、末梢静脈栄養や腸瘻もありますが、当院の在宅現場ではあまり実施しない処置なのでここでは割愛させていただきます。
以上、ご自宅で行われている
「口からご飯が食べることが難しくなったら・・・」の治療方法
をご紹介させていただきました。
以前、当院のblogで投稿しました「自宅で出来る呼吸障害の治療方法」
では、カニューレについてご説明しました。
今回は、次の記事で実際に「そもそも胃瘻ってなに?」、「自宅で実際にどのように胃瘻交換しているのか」等々、お写真と動画でわかりやすくご説明したいと思います。
最後まで、ご覧いただきましてありがとうございました!