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【ドラマの感想】A LIFE~愛しき人~

【ドラマの感想】A LIFE~愛しき人~



まず、むやみにタイトルに「~なんとか~」をつけるのは、やめてほしい。

マーチン・スコセッシ監督の「沈黙~サイレンス~」って、いったい何なのか。「沈黙」でいいでしょ。誰だこんなタイトルにしたのは。日本人の英語力を馬鹿にしているのか。
個人的には、映画自体は傑作で、「見るべき1本」と思っています。
脱線してしまいました。私もセミナーで発表する時なんか、無駄にかっこつけて「~なんとか~」とやってました。反省します。

さて、「A LIFE」。
いい評価も悪い評価もありましたが、視聴率はまずまずで推移し、最終回を迎えました。所々しか観てなかったですが、最後の2回は全部観ました。
といういい加減な視聴者ですが、医師だから感じた違和感などもあったので、つらつら書いてみました。
以下、違和感を感じたシーンです。

・副院長(浅野さん)が「画期的な術式の眼窩内腫瘍摘出術」をした時、院内の医者全員が会議室でテーブル囲んでずらっと座って、モニターで手術を見学していた。→無理。そんな暇ない。
とにかく全体的にここの病院の医者は医局でのんびりしすぎ「ER」(古くてすいません)観て出直してほしい。
・キムタクと木村文乃さん(看護師)と松ケン(医師)が焼肉屋にいます。松ケンはきっちり白い前掛けを着けているのに、キムタクと文乃さんは着けていないことに強い違和感を感じた。(些末なところでした)
・オペの主治医(キムタク)が、わざわざ患者さん(竹内さん)の家に来てオペの説明をする。→来ません
・看護師さん(文乃さん)がなんだかしょっちゅう医局にいて、医者に混じっている。→来ないです
・キムタクがひとりこもって、脳外科の教科書とか文献とか床に敷き詰めて、治療法を考えている。→メーリングリストなり症例検討会なりで、人の意見を聞こう。
・竹内さんの手術で、腫瘍を取り切れませんでした。でキムタク曰く「専門じゃない弱みが出たな」。→ガーン。「神経と血管を見分けるのが難しい」→・・・。
そう、そもそも小児外科と心臓外科が専門の医師(キムタク)が、脳外科の手術はやらない。しかも非常に難しい手術。ありえない。そこを無理やりグイグイもってった挙句「弱みが出たな」は反則ではなかろうか。
・手術に当たって、脳動脈名とか脳の部位の名称とか「尾側」とか「頭側」とか、専門用語がバシバシ飛び交って雰囲気があったのに、脳浮腫だけは「脳の腫れ」で通してしまった。→残念
・その後再オペに備えて看護師さん(文乃さん)とディスカッション。文乃さんが「血流を整えてあげないといけないから」とか天才外科医(キムタク)とほぼ対等にディスカッションしている。→うーん。いいコンビであることはわかるのですが・・・
・副院長(浅野さん)が病院をほかの病院に吸収させるとかそういう「背信行為」を企て、院長にバレてつまみ出されてしまいました。2週間以上たっても行方不明。そうしたらヤサグレて実家にいました。→真っ先にそこを探すべきではなかったのか?
浅野さん、卑屈すぎて器が小さすぎて、まったく共感できない。演技が上手いことが災いして、本当に嫌なやつ。→褒めていることになるのか?
・その浅野さんが、奥さん(竹内さん)の再手術に突如参入する。院長(柄本さん)は、何週間か前に裏切り者の浅野さんを恫喝してつまみ出したのに、「彼の脳外科医としての腕は確かだ」とあっさり味方に変身。スタッフたちも「面倒な人ですね」とか言って、みんなで暖かく迎える。→・・・私の心が狭いのか?
・キムタクのお父さん(田中泯さん)は「職人」であることにこだわるお寿司屋さん。キムタクに頼まれて寿司を握った時、セットでデン、と出さないで、1貫1貫お客のペースに合わせて握って出すべきではないのか? カウンターで1対1なのに。
(これも些末的なところでしたが、泯さんが「職人・職人」ってこだわっていただけに、どうしてももやもやします。)

物語としては、
沖田先生(キムタク)がシアトルから帰ってきてから浅野さんがどんどんおかしくなって、沖田先生がシアトルに帰って一件落着、みたいな感じにみえたのですが、それでいいんですか? きっとダメですよね。
・浅野さんは人でなしの嫌な奴だったのに、最終回でやっと少しいい奴になって、夫婦関係もいい感じになって、病院の院長になって、「いい病院を作るぞー」でFin.
めでたいんだけれど、キムタクは? キムタクが主人公ですよね?
・ドラマでも映画でもその他プロジェクト一般に言えることだと思うけれど、大きな企画で、大勢の人が関わって、「成功させよう」という熱意からいろんな人がいろんな立場で色々言って、制作側がそれに答えようとしてあれもこれも盛り込んでいくうち、どこに向かっているのか、誰もわからなくなって、企画が失敗する。ドラマや映画の場合、相当痛い作品が出来上がってしまう。
そいいうことだったのでは、と感じました。スミマセン。
キムタクは、「キムタク」というプロジェクトの最も重要なパーツとして、身動きできなくなっている感じがして、気の毒になりました。
このお方は、むりくりヒーロー固定しなくても、脇役でじわーっといい存在感出すとか、そいういうお仕事もきっちりしてくださる方とお見受けしました。もっと自由にしてあげたい・・・と私が思ってもしょうがないので、どなたか何卒よろしくお願いいたします。

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