さくらクリニック 練馬

目覚めたらガムテープで手足を拘束されてベッドの上。隣には同じように拘束された女。二人の腕には塩化カリウムの点滴が繋がれている。
これで二人の間にうつぶせの死体があって、「さあ、ゲームをしよう」ってナレーションが入ったら　「SAW」（ソウ）だよなぁ。製作者は絶対意識していたと思った。
（注：良い子は絶対に観てはいけない映画です）

二階堂君がもっぱら翔太君に向かって「ゾウさんですか？、キリンさんですか？」ってやってるから　まさかの翔太君が真犯人？　ってドキドキして観てたら、一瞬のスキをついて翔太君が点滴台をつかみ、投げつけた相手は黒島沙和。それを黒島が女豹の身のこなしでかわし、ニンマリ笑う。
翔太君が絶叫、「やっぱり　お前かあああ」。
ということで、ドラマ開始早々で完敗した次第です。

「黒幕総選挙」で首位を独走していた黒島さんだが、あんまり皆が黒島だ黒島だというから、私のように「逆にないだろう」と候補から外す視聴者が続出したのだろう。直前の投票率は30％台に落ち込んでいた。
選挙で圧勝が予測されると、有権者にバランスを取ろうという心理が働き、有力候補の得票数がイマイチまいち伸びなくなる、みたいな感じか。

そうか、サイコパスか。サイコパス出してきたら犯罪の「動機」が「サイコパスだから」になっちゃうから、推理小説は面白くないんだよっ　と負け惜しみを言ってみるものの、これって推理小説じゃないもんなぁ。

■私が予想していたストーリー
・床島管理人の死で始まった交換殺人ゲームが、ドミノ倒しのように連鎖してゆく。
・脅されたり暗示にかかったり、動機は様々だが、ごくごく普通の人たちが　ちょっとしたきっかけで殺人に手を染めてしまう。その結果　ゲーム参加者の全員が殺人を犯す。
・菜奈ちゃんは　自ら手を下すことはないが、率先してゲームの駒を動かす。途中、罪悪感なのか愛に目覚めたからか、自殺する。
・並行して「微笑み殺人」が行われ、菜奈ちゃん死亡後も止まらない。
みたいな感じだと思っていました。
（でも、我ながら　面白い展開だと思う）

以下　自己批判します。
・主人公の二人は一点の曇りもなくピュアに愛し合うカップルだったのに、「闇がある」と決めつけた歪んだ根性を反省します。
・「殺人を愛する私と、菜奈さんを愛する翔太さんは、同じじゃないですかー」とか　そういうふざけたことを言うこいつを、殺さないまでもボコボコにしてしまえー、って心の中で叫んでしまった残虐性を反省します。
それにしても、黒島さんが笑いながら菜奈ちゃん殺害の場面を語っている時の翔太君の顔芸（血管がブチ切れそうな表情で　凄まじい怒りと悲しみを表現）は良かったなぁ。

・一件落着してから、教会の祭壇の前、白いタキシードを着てひとり立つ翔太君を見て、[おっさんずラブ」の結婚式を連想してしまった不謹慎さを反省します。
（でも、私だけじゃないと思う・・・）

・エンディングでやっぱり流れた「会いたいよ」に乗せて、登場人物たち(おばあちゃんを除く）がほのぼのホームドラマ風に和んでいる様子を見て、一言で言うと　ケッと思ってしまった・・・反省。

そして、マックス参ったのは、KCLとか笑気ガスとかAI菜奈ちゃんとかに対して「医療従事者として」とか偉そうにケチをつけたことが　全部　軽くスルーされていること。あああ・・・（恥）
もうね、そういう細かいことはいいんです。お祭りみたいなものだから、皆で楽しめればいいんです。私が悪うございました。忘れてください。

■おまけ１
二階堂君と翔太君が仲良く鍋をつついているシーンを観て、やっぱりおっさんずラブのはるたんと牧君を連想してしまったのでした。
（これもきっと私だけじゃないはず）

■おまけ２
ふたりで鍋をつついてたらピンポーンとチャイムが鳴る。廊下に出てみたら赤池幸子おばあちゃんの車椅子がひとりでにキコキコ進んでくる。座面には画用紙にクレヨン、みたいな感じで「あなたの番です」。
このシーンは絶対に「SAW」の自転車漕ぎからだと思った。
それで、屋上（マンションじゃなくて大学らしい）で、ガムテープで手足を拘束された幸子おばあちゃんが絶叫しながら落っこちるところでFIN.
犯人については触れられず。
順当に考えると、大量殺人を放置することに加担させられた江藤さんの　遅すぎる正義の鉄槌、なんだろうな。
でも、もしかしたら黒島が脱獄し、次のゲームを仕掛けてきたんじゃないか？とか、視聴者の想像に委ねて　物語はブツッと終わったのでした。
「黒島はいかにして猟奇殺人鬼となりしか」は案の定「Hulu」で明かされるそうです。
悔しいから観ないけど、ネットに詳しい報告が上がるはずなので、それはチェック入れようと思います。

最後にひとこと言わせてください。
貴重な日曜日を　全部「あなたの番です」にもっていかれて、悔しいです。