Home患者さんのご紹介, 神経難病, 院内ブログ > 🌸私の皮膚科の師匠をご紹介します④~カミカミスイッチ作成マニュアル

🌸私の皮膚科の師匠をご紹介します④~カミカミスイッチ作成マニュアル

🌸私の皮膚科の師匠をご紹介します④~カミカミスイッチ作成マニュアル

デフォルト画像

さくらクリニック練馬 院長の佐藤です。
梶浦さんの手足は全く動きません。
どうやってカルテを書いてるのかというと「盲端にした吸引チューブを噛んで、その空圧でピエゾスイッチを操作」しています。
と言われても、なんのこっちゃ?な方が大半だと思います。
私は勝手に「カミカミスイッチ」と呼んでいます。
カミカミスイッチの作り方は色々あるのですが、梶浦さんがなんとマニュアルを作成してくれました。💓
梶浦さんと支援スタッフが試行錯誤を重ねて作成したものです。
手足でスイッチを操作するのがきびしくなってきたけれど 噛む力はある方々、ぜひこのマニュアルをご参考にしてみてください。
ただし梶浦さんもコメントしていますが、メーカーが推奨する方法ではありません。
あくまでこのマニュアルをご参考に、安全面には十分に注意して、自分流に工夫して作ってみてくださいね。

センサーチューブの作成⽅法と吸引カテーテルとの連結⽅法

この資料では、センサーチューブの作成⽅法と、チューブに吸引カテーテルを連結させる⽅法を紹介します。

編集部注記
写真の空圧センサーは「ピエゾニューマティックセンサースイッチ PPS スイッチ」です。今回ご紹介する⽅法は、執筆者個⼈の⾒解・経験によるものです。PPS スイッチのチューブを噛んで操作することは個⼈の能⼒に依存し、メーカーが推奨する使⽤⽅法ではありません。

準備するもの

  • ⽔槽専⽤のエアーチューブ(⽔槽チューブ)
  • ヘアアイロン(アイロンであれば何でも可)
  • オーブンシート
  • 洗濯ばさみ
  • 輪ゴム
  • 固めの紙(プラ板も可。今回はプラ板を使⽤)
  • ⽖やすり
  • はさみ

吸引カテーテルと連結する場合:

  • ⽷フロス
  • 吸引カテーテル
  • 予備のチューブ(⽔槽チューブをカットしたもの)

センサーチューブの作成⽅法

(1)水槽チューブのねじれを直す
  1. ⽔槽チューブを吸引カテーテルと同じ⻑さにカットする。
  2. ⽔槽チューブ全体をオーブンシートで包み、⾼温(約 185℃)に設定したヘアアイロンで数回滑らせるように温める。
  3. そのまま伸ばした状態で、数⽇固定する。

(2)水槽チューブの先端5㎝ほどを平らにする

  1. ⽔槽チューブの先端から 10〜15cm ほどオーブンシートを差し込む。シートのはみ出た部分はチューブの外側に折り返し、抜け落ちないように輪ゴムで固定しておく。
  2. チューブの先端 5cm ほどをオーブンシートで包み、⾼温(約 185℃)に設定したヘアアイロンを 5 回ほど滑らせて温める。
  3. 温めた後すぐにプラ板で先端を挟み、そのまま 1 ⽇程度固定する(より薄くしたい場合はこの⼯程を数回実施する)。

(3)水槽チューブの先端を閉じる

  1. ⽔槽チューブの先端に差し込んでいたオーブンシートを抜き、先端を再度オーブンシートで包む。
  2. チューブの先端を⾼温(約 185℃)に設定したアイロンで挟み、5 秒ほど圧着し、完全に閉じる。

〈注意〉このとき温度が⾼すぎるとチューブが溶ける恐れがある。逆に低すぎると⽩くなり圧着できないため、アイロンの設定温度に注意する。

(4)チューブの先端を整える

  1. 圧着した部分を 1mm 程度残して、先端をはさみでカットする。
  2. ⾓を⽖やすりで滑らかに整える。

〈注意〉⼝腔内に⼊れる部分なので丁寧に整える。ただし、削りすぎると破損してしまうため注意する。

※ここからは「⽔槽チューブ」「センサーチューブ」と表記します。

センサーチューブと吸引カテーテルの連結

 (5)センサーチューブを吸引カテーテルとY字に連結する

(5)-1
吸引カテーテル、予備のチューブ、センサーチューブを並列に並べる。予備のチューブはチューブ 1本分の余⽩を確保するために使⽤する。固定しておくと作業がしやすい。

(5)-2
⽷フロスを 15cm ほど切り出し、3 本のチューブをまとめて巻き付け、センサーチューブと吸引カテーテルにもそれぞれ数回巻き付けて固定する。

(5)-3
同じようにもう 2 ヵ所、⽷フロスで固定する(全部で 3 ヵ所固定する)。なお、先端に近づくにつれて巻き付ける回数を減らし、かつ緩めに巻いていく。

(5)ー4
予備チューブを抜き取り、吸引カテーテルとセンサーチューブの間を、⽷フロスで数回縦に巻き付ける。さらに吸引カテーテルとセンサーチューブにも数回巻き付けて固定する。

(5)-5
幅を確認し、問題なければ、Y 字連結の完成。

*「なごみ訪問看護ステーション」さんが撮影と制作に協⼒してくれました。

いかがでしたか?
わかる人にはわかる、かな?

ちょっと解説します。
梶浦さんは低圧持続吸引器で口の中の唾液を常に吸引しています。
それとカミカミスイッチ(=梶浦さんの言うセンサーチューブ)、2本のチューブを咥えているのがうっとうしいので、糸フロスで束ねちゃっているのです。
これはグッドアイディアですが、面倒なら2本別々に口の中に入れていても大丈夫です。

以前 私もブログでカミカミスイッチを紹介しました。
https://sakura-cli.jp/nerima/archives/3536
この方は吸引チューブの先端を盲端にするのではなく、固結びして使っていました。いたってシンプル。
(参議院議員 舩後(ふなご)靖彦さんを真似てみたのです。)
本人と支援者の創意工夫で、いろんなカミカミスイッチが作れます。
色んなバリエーションも、のちほどご紹介しますね。






Copyright © さくらクリニック 練馬 All Rights Reserved.