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利用者ブログ【第2章 1- 訪問診療スタート】

利用者ブログ【第2章 1- 訪問診療スタート】

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1 訪問診療スタート

退院から2日後、これから主治医として担当していただくさくらクリニックの「齋藤先生」が初めて我が家にお見えになりました。

最初なので、息子が生まれてからこれまでのこと、今後のことなどいろいろお話ししました。

伝えたい内容をきちんと文書にしてお渡しすればよかったと反省です。

・先天性の障害、成長期に行った手術、症候性てんかんの状況

・今回の脳挫傷はどのようにして起こったか

・リハビリ病院で「口から食べさせるのは無理」「気管カニューレや胃ろうカテーテルも一生抜くことができない」と言われたが、少しでもいい方向に改善したい。

・退院からまだ2日で、この先親がどこまでやれるか不安が大きい。

 

【外来】

病院の外来では、一人当たりの診察時間が短く(2~3分の場合もある)最小限の問診で処方が出てしまうことも珍しくありません。また、大病院では診療科目が細かく細分化され過ぎていて目的の診療科にたどり着くのが大変です。

例えば、呼吸器内科と呼吸器外科。お互いクロスしているところもありますが、どちらに相談すれば良いのか分かりません。「呼吸器科」なら考えなくて済みそうです・・

 

【訪問】

訪問診療ではいろいろなことをしっかり聞いてくださり、丁寧な診察・説明をしていただけます(個人の感想です。)。だからと言って、担当外のことをスルーしているわけではありませんし、のんびり診察している訳でもありません。

過密なスケジュールに従って次々とご家庭を訪問、移動中の車の中でカルテに記録したり処方箋を書いたりです。突発的な急患が出れば速やかに対応しなくてはなりません。昼食もろくにとれず、1日の訪問が終わってクリニックに帰ればさらに仕事が増えているのが日常です。

同行のドライバーさんも、住宅地の狭い道に加えて、渋滞、行き止まり、工事中、駐禁などと戦いながら「訪問時間」に遅れないように。。

 

【さくらクリニック練馬分院・佐藤院長の投稿に衝撃的(笑撃的??笑ってはいけない)な記事がありました。】

「訪問診療⌚2分半 !?」
>>記事はこちら

経過観察で良さそうと言っても、訪問で2分半だと「挨拶」で終わってしまいそうです。

病棟回診も同じように1~2分の挨拶で終わってしまう場合もありますが、ベースは24時間看護(見守り・観察)なので、在宅の2分半とは別次元と感じます。

 

【実際のところ、訪問診療って、何科なんでしょう?】

息子は先天性難病のアペール症候群に伴う脳神経外科や形成外科の手術の大半を幼少期に終えました。小学校(養護学校)以降は軽い肺炎以外の大病はほとんどなく、病院にお世話になるのはお決まりの「風邪薬」や「去痰剤」をもらう程度でしたので、長期にわたる通院はありません。

そのため、特に「決まった病院」や、いわゆる「かかりつけ医」はありませんでした。

 

【訪問診療にお願いしていること】

訪問時の全体的な診断、カニューレ交換(2~3週に1回)、胃ろうカテーテル交換(1ヶ月に1回)、不定期ではインフルエンザやコロナワクチンの接種、採血、菌の培養検査などがあります。

相変わらず誤嚥(唾液の垂れ込みもかなりあります。)が多いため、肺炎にならないよう注意が必要ですし、てんかん発作による転倒で打撲や擦過傷を負うことも多いです。

また、皮膚が弱いための炎症やアレルギーも多く、これらを評価していただき、治療や処方をしていただきます。

併せて、訪問看護や訪問リハビリの実施計画への助言や指示、進捗の確認などをお願いしています。

 

【どうやってさくらクリニックに決まったか】

息子は障害のため「痛い」「苦しい」「つらい」などを言葉や文字での意思表示ができず、診察に必要なコミュニケーションがとれません。

その点を含め、日頃から障害児者の生活相談に乗ってくださっているK相談支援専門員の幅広い人脈の中から、最も適した「さくらクリニック」と担当医として齋藤先生にお願いさせていただいくことになりました。

 

【担当制とグループ制】

さくらクリニックは、原則として医師の「担当制」を採用しています。

一人の患者さん宅への定期的な訪問は、同じ医師が担当し、それまでの経緯や経過を踏まえて評価しますので、継続性があり、より的確な診察ができていると思います。

なお、担当制と言っても、休日、夜間その他決められたスケジュール以外での急な訪問依頼の場合は、代わりに対応できる他の医師が臨時に訪問することになります。

 

一方、「グループ制」は、例えば一人の患者さんに対して数人の医師でチームを組み、実際の訪問はスケジュールが合う(ローテーションやシフトなど)担当医が訪問します。決められた曜日・時間帯であったとしても一人の同じ医師が連続して来てくれるとは限りません。

もちろん「チーフ」は決まっていますし、チーム内で適切な情報交換がなされます。患者さんの症状によって訪問回数が多くなる場合や訪問日時が不規則な場合などは一人の医師がすべて対応するのは困難なので、グループ制の効果が期待できます。

 

【点と線】

息子は体調が安定しているように見えても、いろいろ隠れ症状があります。

病院の「24時間看護」は、例えば看護師Aさんが巡回した時点のことをカルテに記載し、次の巡回の看護師Bさんがそのカルテを見ても、Aさんが感じていたささやかなこと(すべてをカルテに記載できないため)はわかりません。

また、「24時間」という軸はつながっていますが、実際には巡回した時の点と点です。

在宅家族は24時間365日です。もちろん家族で交代などで途切れはしますが、病院の巡回に比べれば遙かに連続性があります。また、親など特定の者が観察しているので、同じ目線で観察できます。例えば「痰が多いや性状」は看護師AさんとBさんでは感じ方が違いますが、親は「いつ」から「どの程度(量)」「どのような(色や粘稠度)」などを自分の記憶の中で比較できるからです。

 

結局、点と点(訪問ターム)の間の情報を補うのは家族です。寝ずの番まではできませんが、ある程度は連続性や気づきがあります。それを正しく医師や看護師に伝えることで、より間違いの無い判断ができることとなると思います。



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