呼吸器の選択に悩むとき(土屋さん)
呼吸器の選択に悩むとき(土屋さん)
2018年07月02日
さて
二度のブログでお散歩の様子をご報告させていただいた 土屋さん。
(過去記事は下をクリック)
桜 満開
呼吸器をつけて外へ出よう! 土屋さんのお散歩~新緑編
実は今年の3月以降、痰詰まりで呼吸状態が突然悪化する かなり深刻な急変が 計7回!
そして7回とも救急搬送は免れ、セーフ、というツワモノなのです。
酸素飽和度が70%台とか50%台とか、顔が土気色とか130台の頻脈とか、かなりヤバい状況になっても、私がすぐに駆け付けられる場所にいたり、近所に住んでいる看護師さんがすぐ行ってくれたり、排痰ケアの真打 関根さん(自宅は遠方)がたまたま中野で飲んでいたり、等々、とにかくモッテルんです。
ちなみに関根さんは排痰ケア マイスターであると共に、お散歩ご支援マイスターでもあります。
☟お散歩のときは、必ずこの人がいるという・・・
さて、土屋さんがつけている呼吸器(非侵襲式呼吸器 NIPPV 通称バイパップと呼ばれることも多い)だと、痰詰まりで急変した時、対応がとても難しいのです。
侵襲式呼吸器(一般的に「呼吸器」と言えばこれ。のどに「気管切開」をして装着する)に比べて、バイパップは換気力に限界があります。
そして吸引する時はマスクを外しますから、呼吸ができず、酸素飽和度が更に下がっていきます。
かつ、太い気管支に痰が詰まっている時は、鼻から突っ込んだ吸引チューブを、声帯を超えて気管内に挿入し、ギリギリ根元まで進めて吸引せざるをえないことが多々あります。
声帯や気管が刺激されるわ、ますます息ができないわで、やってて気の毒になるくらい、苦しいのです。
そしてこちらも、酸素飽和度のモニターとご本人の顔色をチラ見しつつ、カフアシスト―吸引―呼吸器装着―吸引―アンビューバック―吸引・・・と延々動き続けるので、もう汗だくです。
(注:これは在宅ならではの荒業なので、推奨できませんよ!)
で、以前は「気管切開は絶対にしません」と断言していた土屋さんも、何度も苦しい思いをしてさすがに堪えたらしく、「カニューレの実物をみせてほしい」と仰ったり、「交換頻度は? 病院に行くの?」等々の質問をぶつけてきたり、と侵襲式呼吸器を真剣に考え始めています。
目下のところ、踏み出せずにいる理由は「声を出せなくなること」。
現在、お話はできませんが、苦しい時や何かしてほしい時は、唸り声を出してヘルパーさんやご家族の注意を促すことができます。それができなくなる恐怖。・・・お察しします。
主治医としては、深刻な状態で救急搬送するのではなく、余裕をもって気管切開をしてほしいのですが・・・。
だがしかし、ご高齢の土屋さんが、侵襲式呼吸器をつけての延命治療を選択するのは、とてもとても重い決断。強引に説得するのではなく、納得して決心してほしい。
ということで、現在 確実に操作できるコールブザーを選定中です。
先日、その進捗状況を尋ねたら、レッツチャットで答えてくれました。
こちらは動画です。機械音声ですが、作成した文章を読み上げてくれます。
こうして一生懸命一文字一文字、気持ちを伝えようとしてくれる努力には、心から「ありがとう」。
漢字に変換すると、下記の様になります。
もっと気持ちが伝わらないと、判断できない。
夜は困らない。
痛いときや苦しい時。
ということで、まだチャレンジが続きます。
急変しないことを祈りつつ・・・でも私もご家族も、もちろん支援してくださっている関係者一同、どのような決断をされても土屋さんを支持して、全力で支えてゆきますからね