家族が認知症かも・・・どう対処したらいいの?(その2)
家族が認知症かも・・・どう対処したらいいの?(その2)
2019年09月19日
さくらクリニック練馬 院長の佐藤です。
家族が認知症かも・・・どう対処したらいいの?(その1)の続きです。
■本人が「認知症かもしれない」と認めない状況で 医療機関に連れて行くことは困難を極めます。
どのような方法をとるといいでしょうか。
家族が「おかしいから病院を受診したほうがいい」といくら勧めても 頑なに拒否するなら、それ自体が認知症の症状、かもしれません。
でも もし自分がその立場だったら?と想像してみましょう。誰だって自分が認知症とは認めたくありません、よね?
その気持ちを察してあげましょう。
その上で、
- 「治せる病気が隠れているかもしれないから 調べよう。」と受診を促す。
→これで説得に応じてくれればいいのですが、難しいようなら - ご本人が信頼している かかりつけの先生がいらっしゃるなら 先生にお願いして、自然な流れで専門医受診につなげていただく。
(焦らず、多少時間をかけて) - 同年代の親せきやご友人がいたら、上手に勧めてもらう。
「○○病院の○○先生に診てもらったら、とってもいい先生だったよ。」とか
「頭がボケたかと思ったら、△△△の病気を見つけてもらったんだ。」 とか。
実際の成功体験があれば、ベストです。
■受診するのは、何科(どういった医療機関)がいいのでしょうか?
専門は(脳)神経内科、あるいは精神神経科です。
敷居を下げて受診しやすく、という配慮で「物忘れ外来」を設けている病院が増えてきました。
ご本人に「ちょっと行ってみようよ」と持ち掛けやすいので、お勧めです。
■域包括支援センターの存在を知らない人も多いですが、どのようなときに頼るといいのでしょうか。
認知症に限らず、65歳以上のご高齢者の方について、医療・介護・福祉のサービスが必要じゃないかと感じたら、どなたでも利用できます。
もちろんご本人が行かなくても、ご家族が相談に行けば大丈夫。
連絡先がわからない時は、最寄りの自治体に尋ねれば教えてもらえます。まずは気軽にご相談を。
■MCIってなに?
MCI=Mild Cognitive Impairment=「軽度認知障害」
認知症は ある日突然発症するわけではありません。大抵の場合、なだらかに少しずつ進行していきます。
MCIとは、簡単に言うと「健常」と「認知症」の境目。
症状は
・物忘れ
・同じ話を繰り返す
・気力の低下
・道に迷う
・段取りが悪くなる
等、認知症と同じですが、程度が軽いので日常生活に助けは要りません。
MCIが必ず認知症になるわけではなく、その後の経過は個人差があります。そのままの状態に長くとどまる人もいれば、正常に戻る人もいます。
しかし50%は、放置されれば5年以内に認知症になる と言われています。
認知症になってしまってから 完全に回復することはまず無理です。
でもこのMCIの段階でライフスタイルの見直し、改善を図れば、認知症になるのを防げるかもしれないのです。
■MCIの段階で 本人や家族ができることは?
= 認知症の予防、ということになりますよね。
ざっとあげてみます。
- 食生活の改善
- 適度な運動習慣
- 適切な睡眠
- 脳を活性化する趣味やレクレーション
- 認知症について学び、備える
①、②、③は 生活習慣病の防止、動脈硬化の防止にもつながりますよね。
ということは、心筋梗塞や脳梗塞の防止につながるわけです。
頭も体も元気で長生きするために、この機会に生活の見直しを。
長くなってしまったので、各論については(その3)に続きます。