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🌀台風19号から学ぶ🌀

🌀台風19号から学ぶ🌀



さくらクリニック練馬 院長 佐藤です。
台風19号の被害にあわれて、今も大変な思いをされた方もたくさんおられると思います。
一刻も早い復旧を・・・・

幸い私たちの患者さんが住んでおられる地域では 大きなトラブルはなく連休明けを迎えられました。

患者さんたちが実際どのように過ごされたのか、参考までにご報告します。

重症度の高い患者さん、特に呼吸器や在宅酸素を使っている患者さんにとって、停電は致命的です。
また、暴風雨や交通事情で、訪問スタッフがご自宅にたどり着けないと、身動きのできない独居の方は どうにもなりません。
ちょっと不謹慎な言い方になりますが、災害自体が防災訓練、というか、平時におろそかにしている有事への備えを再確認する機会になりました。

■独居 かつ機能全廃のため24時間介護を受けている方

介護事業所のみなさん、最優先で考えてくださったようです。
都内は12日午後から13日午前中まで計画運休がありました。
遠方から通えないヘルパーさんがいても、比較的近隣の方、地下鉄を使って移動できる方等と上手に調整して、穴があかないようシフトを組んでくれていました。ありがたいことです。
ヘルパーさんが泊まれるようホテルをとってくれた 太っ腹の事業所さんもいらっしゃいました。感謝😍
幸い、通勤途中に怪我した方はいないようです。
ただし、予測されていたほどの暴風はなかったからよいものの、人や車が吹っ飛んだり、看板やら何やらが落ちてくるような状況だったら、訪問スタッフの命を危険にさらすことになっていたかもしれません。
今後の課題です。

■人工呼吸器を装着している方
行政、訪問スタッフ、呼吸器の会社 etc. 二重三重に 防災の呼びかけをしてくださり、バッテリーの充電や防災グッズ、避難先の確認、緊急時の連絡先チェックは、ほぼ完璧でした。
うちの患者さんは、TPPV(侵襲式呼吸器)もNTTV(非侵襲式呼吸器)もフィリップスさんの機械を使っている方が多いのですが、ここの呼吸器 Trilogyの場合
・内臓バッテリーは6時間
・外付けバッテリーは3時間
・外付けバッテリーは排痰補助装置と兼用
従って、排痰補助装置も含めてフル充電しておけば 最低でも12時間 持ちこたえられます。

☟ 後ろに突き出ているのがバッテリー

かつ、ありがたいことに東京都が「在宅人工呼吸器使用難病患者非常用電源設備整備事業」という 息継ぎ箇所に悩む 長たらしい名称ではありますが、大変ありがたい事業をしてくださっています。
簡単に言うと、都内在住の在宅難病患者さんで 人工呼吸器を使っている方に 非常用発電機を貸与してくれる制度です。
患者さんが直接申請するのではなく、当院のように訪問診療をしている医療機関が都に申請し、管理する形で希望する患者さんに発電機を提供するのです。
都内在住で呼吸器を着けて自宅療養されている方は、この機会に主治医の先生に相談してみてはいかがでしょうか?

■在宅人工呼吸器使用者向災害時個別支援計画
舌を噛みそうな名称のこちらの事業は、東京都の指針に基づいて各自治体が主体となって行っている事業です。

☟例)ネットで練馬区の書式が見つからなかったので、豊島区さんのを拝借しました。
在宅人工呼吸器使用者向災害時個別支援計画(豊島区)

どの自治体さんでも、書式は似たような感じ。
☟のように 人工呼吸器、在宅酸素、吸引器の情報とか、
その他 連絡先とか避難先など防災に役立つ情報を 数ページにわたって記載します。

これをもとに各自治体で在宅人工呼吸器使用者の名簿やマップを作り、有事の際にはサポートしてくれますし、コピーしたものを自宅においておき、在宅支援スタッフがデータベースとして利用できます。

今回の台風で判明したのは、
・作成はしたが 書類が行方不明
・あるいは家族以外は置き場所を知らない
とか
・保健所には新しい情報を更新して提出しているのに、自宅においてある書類は古いまま
とか
有事の際に自宅で情報を役立てられないであろうお宅が 結構あったこと。
確認する良い機会になりました。

こうしてみると、私たち東京都民は マンパワー、制度とも とても恵まれています。ありがたいことです。
逆に 医療過疎、人口過疎地域の患者さんは そうとうハンディがあるということ。
否応なくやってくる高齢化と人口減少社会に向けて、自宅療養患者さんの防災のあり方も 国全体で再考していかなければなりませんね。

■災害・緊急時用 医療情報提供書
 (さくらクリニック プレゼンツ)

そして これは当院のオリジナル。
2011年の東日本大震災では、都内でも半日くらい電話が通じなくなってしまいました。
電話回線のダウンが長時間続いたら、電話以外の連絡手段を持たないお宅とは、連絡がとれなくなってしまう。
そこで万が一のために、患者さんの医療情報を主治医がまとめて、患者さんにお渡しすることにしました。
こんな感じで ファスナー付きの透明ファイルに入れてお渡ししています。

台風19号の前後は、往診時に「出してみてください」とチェック入れました。
たいていのお宅ではサッと出てきましたが、行方不明になっちゃってるところも・・・。
1年毎に基本情報を更新していますが、こういう時にもチェック入れるのも大事です。

☟さすが優秀な土屋家。サッと出てきました。

🌸台風19号緊急災害支援募金のオススメ🌸
YAHOO! JAPANネット募金
簡単だから好き。
Tポイントも使えるよ😊






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