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🌸エアフリック式文字盤がすごい❣🌸

🌸エアフリック式文字盤がすごい❣🌸



さくらクリニック練馬 院長の佐藤です。
エアフリック式文字盤(私は勝手にエア文字盤と呼んでいる)について、詳しくは梶浦さんの連載ブログ enjoy! ALS 第10回 の記事をみてくださいね。
イラストを見ながら読むと、とてもわかりやすいです。
私はこれを大いに押してまして、日本の津々浦々に普及させたい と思っています。
患者さんのコミュニケーションツールとしてメリットが大きいだけではなく、更に大きな可能性につながっていくのでは?と期待しているのです。
今日はそれについて 梶浦さんのブログに少し付け加える感じで 書かせていただこうと思います。

勝手に比較:透明文字盤 vs エア文字盤

透明文字盤とは

透明文字盤とは、透明な板(一般的にはアクリル板)にひらがなを書く、ないし印刷したものです。

50音文字盤☟

フリック式文字盤☟

使う時はこんな風に、協力者が透明文字盤を持って、文字盤越しに患者さんと視線を合わせて一文字ずつ読んでいきます。

エア文字盤のメリット

透明文字盤が要らない

このイラストは 梶浦さんのブログから拝借しました。
とても分かり易い説明になっています。
要は、フリック式文字盤を使う時と同じように視線を動かし、行×段の組み合わせで文字を確定していくのです。

なんといっても一番のメリットは道具が要らないこと。
いつでもどこでも、エア文字盤を使える患者さんと支援者がいさえすれば、意思の疎通ができるのです

両手が空く

透明文字盤を使う時は、上の写真のように
・両手で文字盤を持つ
あるいは
・片手で透明文字盤を持ち、片手で文字を指す
のですが、いずれにしても両手が塞がってしまいます。(片手でスイスイ操作する達人もいらっしゃいますが)

両手が塞がることで一番困るのは、メモがとれないこと。
特に初心者や、私のように下手な人は、一文字一文字確定していくのに悪戦苦闘するうち、一つ前の文字が何だったか、忘れてしまうことがあります。
その場の状況から言いたいことを類推できる時はまだいいのですが、まったく予期できない単語の時なんかは特に・・・。これは、患者さんに本当に申し訳ない。
それに、長い文章の時は、ご本人が必死に伝えてくれた内容を自分流に端折ってしまうことも。

忘れないためにメモを取るのですが、その時はいったん文字盤から片手を離し視線を逸らさなければなりません
患者さんの頭の中には、伝えたい次の文字が行列をなして待ち構えているのですが、その表出がワンテンポずつ遅くなってしまう。
特に初心者のうちは、自分と患者さんの位置関係・文字盤の位置と角度、などを合わせるのに少し時間がかかるので、患者さんに一層我慢していただくことになってしまいます。

エア文字盤では両手が完全にフリーなので、片手にメモ帳を持ち、片手でメモを取りながら会話を進めていけます。

眼球運動制限が出ても、使える

昔(私が研修医になった頃)は、教科書に「ALSの陰性4徴」(=この症状は出ません、という意味)というのがあって、その一つは「眼球運動障害」でした。
要は「最期まで眼球運動障害は起きません」ということです。

ところが、呼吸器を装着してしっかりケアをして、長年にわたって療養生活を送る方が増えてきたら、「陰性4徴」が出てくる患者さんが少なからずいらっしゃることがわかってきたのです。
昔は生存期間が短かったので、「陰性4徴」が出る前に亡くなってしまう方が多かったのでしょう。

個人差はありますが、目の動きは、特に長年療養生活を送っている方では、少しずつ鈍くなっていくことがあります。文字盤をじっと見つめるうちに瞼が下がってくる、ということもあります。
透明文字盤が難しくなってきたら現場では色々工夫をするわけですが、わずかでも目を動かせるなら お顔の左右に文字列や「〇」と「×」のカードを提示して、どちらかの方向に眼を動かしてもらうことでコミュニケーションをとったりします。

エア文字盤は、正面+上下左右と斜め 計8方向に眼を動かさなければならないですが、しっかり文字を凝視して検者と視線が合わなくても、視線の方向さえわかればいいので、透明文字盤が難しくなってきた時期でもできるんじゃないかと思っています。

更にその先に期待が膨らむ

発声が難しくなった患者さんの有力なコミュニケーションツールのひとつに 視線入力装置 があります。
アイトラッキングという高度な技術で目の動きと注視点を計測することで、見つめた文字を順に確定して文章をつくることができるのです。

視線入力装置を華麗に使いこなして 問診に応じる美登里さん☟

エア文字盤は、視線入力よりは動きがシンプルなので、エア文字盤の8方向(=行)と5方向(=段)の眼球の動きの組み合わせをデジタル化して 音声か文字で出力する装置を作れるんじゃないだろうか?
それができたら、経験のある支援者さえ不要になり、相当便利なツールになると思うのです。
だれかこういうのが好きな人、得意な人、ぜひぜひ 発明してくださいませ!!

 

 






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