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【2025.5.30勉強会 参加レポート 後半】家族の負担軽減と将来の問題(家族の声)その1
【2025.5.30勉強会 参加レポート 後半】家族の負担軽減と将来の問題(家族の声)その1
2025年10月31日
             
    
【在宅になって】
後半は、一言で言えば「この先どうする?」というヘビーなテーマです。しかし、現実は目の前の介護に加え、行政、医療・福祉などの手続きに落ち度が無いようこなさなければなりません。
しかし何と言っても親が今できることは「息子に寄り添うこと」が第一で、自分の病気や将来への備えは後回しで綱渡りの日々だと思います。
【こどもと共に】
日々の生活を振り返ると、ほとんどいつも一緒に家にいる状態です。一人おいて買い物にも行けないので、父・母のどちらかが家にいるときにそそくさと用事をすませています。
外食すればいいとか、どこか旅行にとも思いますが、こどもを残しては行けないし、では「一緒に連れて」となるとかなりハードルが高いので躊躇してしまいます。
一方、子どもが通所施設に行っている間なら外食する時間があるとなるのですが、その貴重な時間は家の掃除や片付けとか、少し昼寝をと思ってしまいますし、やはり揺り戻しで「外食するなら子どもも一緒に」と、前向きのようで後ろ向きの発想にとらわれ素直に行動に結びつきません。

【親(家族)しかわからないこと】
親でなければわからない、できない例として、過去の手術歴、現在の知能の理解度などの情報をお伝えするということです。今は電子化されたカルテや画像、動画などの情報を共有することができますが、25年前の手術となると当時の執刀医のみなさんも退任されていますので、「なに」が、「どう」は親しか知りません。
1 頭蓋骨の一部が見当たらない
救命病棟で、「頭の骨、足りない」と言われました。複雑骨折でバラバラになった骨をジグソーパズルのように組み上げていくのに完成予想図が描けません。
⇒ 頭蓋骨早期癒合症の開頭手術で切り離した部分に隙間が残ったままのためです。
2 意識が戻ってない(確認できない)
8時間ほどの緊急手術となり、執刀した脳外科医が「なんとかやったよ!」と嬉しい報告。その後「髄液漏、止まらないんだ。ところで、意識が戻ったか確認したいけど、”チョキ”できるかな?」
⇒ 合指症の指の分離手術を行ったもののどの指も関節がほとんど曲がらず、また、「チョキ」という言葉の理解ができないためです。
これらは「親が知っていること」、「親しか知らないこと」だから答えられると思います。
親なき後で誰かにゆだねるとしても、今回の経験を踏まえ、日頃の動作や身体の状況、言語理解などについてきちんと伝えられるよう日頃から整理しておこうと思いました。

【特に夜間の親の負担が多い】
吸引や体位変換が必要な場合、特に夜間の介護が負担になります。「人工呼吸器を使用している医療的ケア児の住環境に関するアンケート調査報告」で、夜間介助に関するストレスを見ますと、「熟睡できない」「夜間介助全般のストレス」を感じるとした回答者がそれぞれ80%以上にもなります。我が家も、夜間吸引に加えトイレ介助もあり、同様に寝ていられないというのが現状です。

【夜や休日の心配事】
なぜか夜や土日、特に連休になると調子が悪くなったり、発作の転倒でケガを負ったりします。その程度がひどい場合、訪問看護やクリニックのオンコールで相談したり、臨時の訪問をお願いしたりとなりますが、実際その場で119番に救急搬送を依頼する方が良いのか判断ができません。また、無理して「家でなんとかしてしまう」という選択肢もあるので、4択の中での判断です。
在宅支援のオンコールサービスが無ければ、119番に依頼するしかしないのですが、さすがに救急依頼をすることに躊躇してしまいます。
その点4択であれば、一番相談しやすいステーションの看護師さんから段階的に考えていけばよいわけです。
ところが、「オンコール」は安心かというと、医師も看護師もその日の順番で担当しているだけで、会ったこともないし、遠方の拠点だと駆けつけていただいたとしても2時間ぐらいかかってしまうこともあります。それぞれ患者情報は共有されいますが、ほとんどの場合「初めまして」の医師や看護師との顔合わせです。さらに程度によっては看護師さんに来ていただいていても医師の指示や判断が必要で、仕切り直しになることもあります。夜間は一人しかいない場合が多く、来ていただいても十分な処置ができず次の患者さん宅へということもありました。やりとりばかりに時間がかかり、回り回って結局は救急搬送になるとしたら、そのロスタイムはかなり致命的と言えます。
まずは親・家族が落ち着いてどこへ連絡するかを判断し、正確な情報をお伝えして指示を仰ぐというのが肝要と思います。
【家族が知りたい「住まい」に関する情報】
医療的ケアがある患者・ご家族が、安心・安全に療養生活を送るための住宅についてどのように工夫されているかをまとめハンドブックがあります。
これは「CMC住宅ハンドブック」と題され、「医療的ケアが必要な子どもと暮らすライフステージに沿った住まいづくり」をテーマにまとめたものです。
人工呼吸器で生活されている障害児(者)さんと、そのご家族向けのアンケート調査に基づくものですが、この研究に携われた東京大学大学院工学系研究科建築学専攻の松田准教授様からご紹介をいただき、本勉強会で紹介させていただくことになりました。
勉強会当日、会場にはご多忙の中、研究室所属の大学院生(修士課程)お二人、同博士課程卒業生のお一人もご参加頂きました。この場をお借りし厚く御礼を申し上げます。
今後も在宅家族に役立つ調査研究等、皆様のご活躍を期待したいと思います。

東京大学工学系研究科松田研究室 卒業生※
からのコメント
ご家族様から重度障害のある息子さんのお話を通して、在宅医療のリアルを知ることができ、大変勉強になりました。
私はお話の中でご紹介いただいたCMCハンドブックの研究メンバーで、調査では18歳未満の比較的体格が小さい医療的ケア児のいるご家庭を訪問しましたが、今回のお話で、患者様の体の成長に伴って生じる住環境の課題やヒヤリハットも少なからずあるのではないかと気になりました。またお話をお伺いする機会を楽しみにしております。
※現:日本女子大学 建築デザイン学部 建築デザイン学科 助教
【安心・安全な在宅へ:今後の期待】
在宅療養が続くことを前提に、家族と支援いただく医療者の負担の軽減を考えると、昨今急速な発展を遂げている「AI技術」の医療、福祉分野での活用が最もマッチすると思います。
例えば、あれば便利な見守り機能として
・てんかん発作の予兆検知、転倒による骨折、外傷等のスクリーニング、緊急通報
・日々のバイタル値計測、判定によりアラート(注意喚起)や医療機関への通知自動化
・処方指示に基づく適切な服薬管理(アラート)、重複などのリスク管理、残薬の把握、それら情報を医療機関へ連絡
・過去の病歴、その他の情報を一覧できる機能、また、必要な書類の自動作成機能
・体調の自動問診機能、健康管理アドバイス機能、緊急通報機能 など
自分では何一つ発明できないので悔しいですが、自分たちである程度カスタマイズもできるレベルのものが開発されたらとても嬉しいです。

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