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吸引カテーテルの管理方法について(補)

吸引カテーテルの管理方法について(補)



さくらクリニック練馬 院長の佐藤です。

先日 診療助手 荒川が「吸引カテーテルの保管方法について」という記事をアップしてくれています。
ありがとう😊
でも、「木村さんの奥様ってえらいなぁ」ということはわかっても、医療的な意味がヨクワカラナイと思っている方もおられるのでは?
そこで 私が医療的見地から少し解説したいと思います。

吸引カテーテルの保管方法は、一般的にはふたつ。
ひとつが「消毒液に漬けておく」方法
もうひとつが 当院で推奨している「乾燥させて保存する」方法
です。
順に解説します。

「消毒液に漬けておく」方法
1.消毒液(オスバン・ヒビテン・ミルトンなんかが使われることが多いようです)を精製水で既定の濃度に希釈し、密閉できる清潔な容器に入れる。
2.吸引後の吸引カテーテルをアルコール綿で拭き、内腔に水を通してきれいにしてから再度アルコール綿で拭いて、内外とも清潔な状態にする。
3.消毒液に漬ける。

この方法の欠点は、
・実は清潔を保ちにくい
・気道粘膜を障害するリスクがある
・手間がかかる
・コストがかかる
こと

消毒液に漬けるのに、なぜ清潔を保ちにくいのか?というと、内腔にこびりついた痰を十分に洗い流せなかった場合、消毒液の中で菌が増殖するリスクがあるからです。
逆に、しっかり滅菌しようと消毒液をたくさん入れた場合、吸引する時に十分に消毒液を拭き取れないと、その消毒液で気道粘膜を障害するリスクがあるとも言われています。
そして、清潔を保つためには原則1日1回消毒液を交換しなければなりません。

訪問診療の初診に伺った時、何やらウヨウヨ浮いている消毒液に漬かった吸引チューブを目にすることが 少なからずあります。容器が蓋の付いていないただのコップだったり、あまりキレイではない床に置いてあったり、ということすらありました。
これでは、手間暇かけるわりに「清潔を保つ」という効果が期待できません。

「乾燥させて保存する」方法

私が「乾燥させて保存する」方法を推奨する理由は三つ。
・簡単
・消毒液に漬けるより清潔に保てる
・コストがかからない

保管方法はお宅によって色々工夫されています。タッパに入れたり、ペットボトルの空き瓶に入れたり、吊るしたり。
私は「吊るす」のが好き(完全にドライにできるから)ですが、清潔に保てるなら しっくりくる方法でいいと思います。

☟例
とある患者さん宅では、経管栄養に用いる点滴台を利用して、洗濯ばさみで吊るしています。

木村さん宅では、
☟こういうスタンド(Amazonから写真を拝借しました。1000円弱)
に、100均で買ったという小さい物干しハンガー(画像は楽天から拝借)
を取り付けて この形に。☟
ちょっと写真がわかりにくくてゴメンナサイ。
そのうち撮りなおしてUPします。

とにかく木村さん宅では、ケア面で「こうした方がいい」とアドバイスすると翌週には形になっているから、すごいです。
闘病生活20年で一度も肺炎を起こしたことがないのは、ダテじゃございません。

さて大事なのは、吸引の前後の処置です。

1.吸引チューブをアルコール綿ではさんで上から下へ向かって拭いて、チューブの外側をきれいにする。
2.水を吸引して、チューブの内腔をきれいにする。
3.もう一度 吸引チューブをアルコール綿で挟んで上から下に向かって拭く。

これでチューブの外側・内側とも清潔。
吸引の前後で、この1-2-3をしっかりやれば大丈夫です!

ちなみに、吸引カテーテルを洗浄するのに精製水を使う必要はありません。というか水道水より却って不潔です。これは覚えておいてください。
精製水とは「水道水から不純物を除去した 純度の高い水」です。この「不純物」には消毒のための「塩素」が含まれています。
精製水は、開封しなければ無菌ですが、開封したとたん、水道水より腐敗しやすい水となります。痰で汚れた吸引チューブを入れたら、水道水より雑菌が繁殖しやすいのです。
だから吸引チューブの洗浄には水道水を使ってくださいね。

(注)
この記事は、私の在宅での経験(勉強もしてますよ)を踏まえて 書いています。
絶対の正義ではありませんので、最終的には主治医の先生や看護師さんに正しい方法を教わってくださいね。






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